渡辺貞明建築設計事務所   mail : sadwat@mac.com 044-434-4777


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鎌倉の茶室-5

ー鎌倉の茶室ー

面皮柱という杉の磨き丸太の丸みを柱のかどに残した柱に
直線で構成された敷居や鴨居を取付けるのは容易なことではない。

これまでに何度か紹介している「ひかりつけ」という作業で
面皮柱の自然の形を正確に四角い部材に写しとって加工する。

加工した痕をよく見るとわかるが、仕上がって接して見えるところのほかは凹面状に削り取られていて、
面と面はほとんど接触することがない。
あくまで仕上がりの線だけが接していることがわかる。

息の詰まるような作業を重ね、まるで家具のような仕上がりで、
ゆっくりと建物ができ上がっていく。


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by sadwat | 2011-02-23 23:53 | 事務所のしごと | Comments(0)

鎌倉の茶室-4

ー鎌倉の茶室ー



東京近辺ではほとんど見られなくなった小舞壁
茶室の壁は薄い
普通の住宅より細かいピッチで小舞を丁寧に編み込む
芯になる間渡し竹という少し太めの割り竹で構造体と土壁は曖昧につながっている
このことで建物に多少の歪みがでても壁全体に傷みが広がらずにすむ
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小舞壁下地の様子
これだけで十分美しい
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荒壁を壁の片面ずつ塗る
この荒壁の段階で十分に亀裂を出し切ることで次の中塗り、仕上げ塗と段階的により細かな亀裂になっていく
ここでよく乾かしておかないと、仕上げが美しく仕上がらず、さらに小舞下地が残った水分で痛むのだ
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これは茶室ではなく母屋の玄関まわりの屋根の仕事
軒裏からだんだんに仕上げていく
ここが最近の住宅などと違うところ
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玄関入り口の柱を支える沓石との光付け(石の不整形な形に柱の足もとを馴染ませる作業)
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これも光付け
皮付きの杉柱の形を型紙にうつして敷居鴨居を加工する
これが真四角の柱であれば一日に2,30本加工できるが
この場合は一日2本ぐらい
とにかく手間がかかる、特に安井杢工務店の職人はこのことを当たり前に思っていて、全く意に介さない
丁寧な仕事に感謝と敬意を感じつつ、いつ終わるのかな〜っとこちらも丁寧に眺めているしかない
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by sadwat | 2011-01-31 23:21 | 事務所のしごと | Comments(2)

鎌倉の茶室-3

-鎌倉の茶室-


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茶室工事を担当するのは、「桂離宮・昭和の大修理」を手がけた京都の安井杢工務店

その丁寧な仕事ぶりには誰もが舌を巻くところだが、
そうした仕事に情熱を燃やす大工の若さに驚かされる。

伝統をしっかりと受け継ぎ、地道に知恵と経験を積み重ねていく若者の姿にほっと安堵するのは私だけではないだろう。
by sadwat | 2011-01-15 19:07 | 事務所のしごと | Comments(0)

鎌倉の茶室-2

-鎌倉の茶室-

茶室の垂木「芽付竹」



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茶室の垂木を芽付竹にした。

竹の枝の根元を少し残し、そのリズムと意匠的な面白さを楽しむ。

こうして天井の形ができ、その下にたたずんでみると、

誰の発想か知らないが、先人の意図するところが静かに滲むように伝わってくる。

それが様式、作法、伝統というものの意義ではないか。



様式に黙ってしたがっていると、時が研ぎ澄ました洗練というものに出会うことができる。

時を積み重ねて受け継がれてきたものを足がかりに、

新しい生活のスタイルを少しずつすり合わせていくことが

現代のすまい方に求められているのではないかと思う。

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by sadwat | 2010-12-20 16:31 | 事務所のしごと | Comments(0)

鎌倉の茶室-1

-鎌倉の茶室-

・美しく見せる為にはなんでもやる・

茶室の持つ心地よさを演出する繊細な仕事の積み重ね

ときには設計者の想像を超え、常識を覆す大工の技に驚愕するが

大工は素知らぬ顔で淡々と仕事を続ける。

またやられたな、と思うのだが彼らに仕返しをするのはなかなか難しい。


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by sadwat | 2010-12-17 19:37 | 事務所のしごと | Comments(4)

鎌倉の茶室 二十五年前の仕事に出あう

京都の錺金物製作をする横山金具工房 を二十五年ぶりにに訪れた。
お茶室に使う金物を探す為だ

そこで私が昔スケッチを起こして造っていただいた橘(たちばな)をデザインした釘隠に出会った。
ケースに入れて見本として大切にしていてくれたのだ、懐かしさと嬉しさに心が震えた。

丁寧に銅を打ち出して造った地金に燻べ(くすべ)色をつけて、深い黒に色付けをする。
日本の黒の表現は奥が深くその色数は無限だ、煤を着けては磨き、着けては磨き、
何度も重ねて深い黒を引き出すのだそうだ。
漆とは一味違う
これも日本の黒。


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                                    [横山金具工房の仕事]
by sadwat | 2010-09-24 23:28 | 事務所のしごと | Comments(2)

鎌倉の茶室 KYOTOへ

鎌倉に建てるすまいの材料を確認に雲行きの怪しい京都へ


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杉磨き丸太の皮の部分を四隅に残してつくる柱を面皮柱といって、
柔らかくつややかな自然の趣を残した柱で広間を造ります。
丁寧に磨いて仕上げます


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特に目立つ柱は3本用意してもらって写真真ん中の1本に決める
決め手は木肌の複雑な表情


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小間の茶室床柱の個性的な表情を前に迷いに迷う
月並みな赤松皮付きもやはり美しいが、私が目を留めたのは良母(リョウブ)
美しい木肌と柔らかな色合いが魅力的(下の写真真ん中)


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by sadwat | 2010-09-24 00:08 | 事務所のしごと | Comments(0)

鎌倉の茶室 700年の眠りから覚めたものたち

鎌倉の茶室

鎌倉に計画中の茶室付住宅の建設予定地は鎌倉時代の大倉幕府跡という史跡の上に建つことになる。

埋蔵文化財包蔵地域というとても厄介な土地なのだ。

60〜70センチも掘ると土器の欠片らしきものが出土し始め、
次々と何層にもわたって生活基盤とおぼしき地層が発見され、
突然人の気配のする出土品の群れに突き当たる



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可愛らしい、とにかくかわいいこの下駄は女性のものらしい
下駄の右にあるのは 箸

とても小さな足、手に取ってみると700年前にこの下駄を履いていた人と何となく
コミュニケーション出来たような心持ちになるのだ

700歳のあなたはどんなにかわいらしい人だったろう、お逢いしたいです



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この土器の欠片は日常生活に使われていたかわらけ・灯明・壷など

右の壷は直径60センチ位の大きな常滑の壷、
これをどうしても欲しいと言ったら絶対にダメだそうだ、
土地の持ち主でも出土品は鎌倉市に帰属するのでもらうことは出来ない。
発掘費用は地主負担です。
ナットクいかない。

左下の穴のあいた陶片は壊れた土鍋や石鍋などに穴を空けお湯に浸けるなどして温め
懐に入れて暖をとるのだそうだ。
温石(おんじゃく)という。昔ホッカイロみたいなものだ。
同じ石で700年前と同じぬくもりを感じてみたくなる。



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これは形代(かたしろ)と呼ばれるおもちゃのようなもの

ウィキペディアによると
「形代(かたしろ)とは、神霊が依り憑く(よりつく)依り代の一種。
人間の霊を宿す場合は人形を用いるなど、神霊が依り憑き易いように形を整えた物を指す。」



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漆塗りの杯のようなもの、小皿かもしれない
左の絵付けは手書き、右は印判でハンコで絵付けをしたようなもの


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温石・・どんな人のからだを暖めたのだろう。



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敷地の一隅に現れた、御堂らしきものの礎石跡の一部・・・んーっ凄い
時と歴史が積み重なった土地の持つオーラを発している
恐れ多くもこの上に家を建てるのだ、鎌倉に家を建てるということはこういうことだ。
連綿と続いてきた歴史の延長線上に現代の私たちの生活があることを思わないわけにはいかない




by sadwat | 2010-03-13 20:39 | 事務所のしごと | Comments(12)

鎌倉の茶室 茶室おこし絵図

鎌倉の茶室 茶室おこし絵図

優れた茶室をはじめとする数寄屋建築や城のイメージをわかりやすく後世に伝えるために、
日本には江戸時代初期からおこし絵図という模型製作手法がある。

折り畳めて、どこにでも気軽に持ち運べ、ときには壁を倒して座った時と同じ目線で室内を見渡せる。
CGや透視図よりもはるかに臨場感があり、誰もがその空間の特質を簡単に理解出来る。

鎌倉に計画中の三畳台目の御茶室をおこし絵図で作ってみた。
(台目切りと向う切りの2種類作ったが三畳台目の向う切りはほとんど茶室として作例がない)

ペラッとした紙の扱いにくさの中にも必要な情報はわかりやすく盛り込んであり、
日本人らしい合理性と少しだけ力の抜けた曖昧さをこの手法は表現していて、
見る人は皆なぜかその作り出す空間の楽しさに微笑んでしまう。



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by sadwat | 2009-11-27 18:51 | 事務所のしごと | Comments(6)

横浜三渓園  白雲邸

「横浜三渓園  白雲邸」

《開港150周年記念》古建築全棟一挙公開とのこと
日本文化を知り尽くした近代数寄者原三渓の素晴らしいやりたい放題を拝見

今回は原三渓と夫人が住まわれた白雲邸(大正9年築)を中心に拝見した

原三渓の書斎と夫人室は隣り合っているが
二つの部屋をつなぐ入り口に建具はなく、絶妙なデザインの桜の透かし彫りの杉板があるのみである
三渓の書斎と夫人室を隔てるともなくそれぞれの領分を意識させるやり方は
夫婦の領域を分ける手法としておおらかな解決方法だと思う、
しかも桜のモチーフがいかにも女性のかをりを感じさせ、柔らかくその役割を果たしている。
桜の欄間の下端の高さは150センチというところ、女は通すが男は頭を下げる、そのような寸法に思える?

三渓の書斎には大きなケヤキをL型に切り抜いた拭き漆の造り付けのどっしりとした机があり、
個性的でありながらこれ以外の選択肢が考えられないくらいこの空間と一体化している。
書院の膝元には桂離宮の新御殿、一の間の書院の様に風を通すための太鼓張りの襖が建て付けてある
いつかはやってみたいアイデアだ

天井は杉磨き丸太の格天井で、とても細工の難しい仕事。
天井高さは7尺あるかないかで、この高さも部屋の広さや繊細な造作と切り離して考えることは出来ない、
完璧なバランス。

わずか3畳の空間の洗練、伝わるだろうか

三渓園を訪れるたびに、日本文化と古建築に精通した原三渓の審美眼に舌を巻く




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by sadwat | 2009-08-25 19:53 | 建築散歩 | Comments(2)