渡辺貞明建築設計事務所   mail : sadwat@mac.com 044-434-4777


by sadwat

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愛媛県新居浜 星越 山田社宅 (昭和初期の住宅群)


遠く愛媛県新居浜から私を捜してくださったご家族をお訪ねした。
別子銅山関連の産業遺産ともいえる住友山田社宅群を是非私に見せたいのだと案内してくださった。
自分たちは、どのような建物を心地よく感じているのか、手っ取り早くこの建物群から読み取って欲しいということだろう。
非常に分かりやすく、イメージを共有することができた。

この社宅群は昭和4年から10年にわたって住友幹部用に建設されたもので約100坪程度の敷地にゆったりと建てられている。
そのほとんどが平屋建で、多様な屋根形式で変化がつけられている。
当初約250戸建てられたが、すでに半数以上は壊され、新しく開発がすすめられ、順次壊されていくようである。
昭和初期の住宅群がこの規模で建築当初のかたちをほぼ残したまま現存しているのは大変めずらしい、他にこの様な例はないだろう。
最近ずっとヒットを続けているNHKの朝ドラの時代感が残されているのだ。
この建物群についてはarchitectural map の記事が詳しいのでこちらを参照してください。


建物はとても質素であり、簡潔なデザインで不要な装飾などほとんどない。
人の手の跡を感じる素材とのバランスは昨今の新建材の寄せ集めでは表現できない味わい深さがある。
丁寧に作られた昭和初期の質の高い普通の住まいを肌で感じる事ができた。

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新しく区画された土地には、新建材と便利な機能満載の建物が寒々しく建ち並んでいて表情がない。
どこの新興住宅地でも見られる例のスタイルだ。
出来上がった時からできるだけ手を入れない事を考えた建物と、手を入れて維持され90年経って尚、日本の健全な住まいの宜しさを訴えかけてくる建物が放つ魅力の差は歴然としている。
これらの建物は、人間の持つ曖昧な感覚と心地よく馴染んで好ましいのだ。
何故この土地の遺産とも言える山田社宅が90年の歳月をかけて残したものを活かせないのか、設計者の脳裏をかすめた様子もない。
もちろん防火、耐震という事にたいして、この時代の住まいはどれも脆弱だ。
しかしそれでも尚、これらの住宅がその芯に持っているものまで一緒に葬り去る事はない。
まさかだれもその事に気付いていないのではあるまい。
私はふと立寄った旅人みたいなもので、わからないだけで、どこかにきちんと考えている人がいて、何か素晴らしい計画があるのかもしれないが、この町の歴史と個性を表現する手段として、もっと活用してもよくはないかと思う。

町のランドマークにするのだろうか、下部鉄道(昭和52年廃線)の旧星越駅舎は美しく復元されていた。この延長線上に新しいこの町はつくられていくのだろうか。





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by sadwat | 2014-08-26 16:49 | 建築散歩 | Comments(0)